こんにちは!
タコ料理長です。
さて、このコラムでは不定期で「瀬戸内コラトゥーラ」についてや、瀬戸内コラトゥーラを使ったお料理のレシピなどをご紹介してきました。
今回は改めまして、私達宇佐川株式会社が開発、販売しております「瀬戸内コラトゥーラ」のルーツとなった、南イタリアの小さな漁村、チェターラの歴史や概要を詳しくお話したいと思います。
それでは早速参りましょう!
目次▼
アマルフィ海岸の漁師町「チェターラ」
冒頭でも少しふれたとおり、コラトゥーラは南イタリアのカンパニア州、アマルフィ海岸沿いに位置する人口2,200人程の小さな町、チェターラで生産される魚醬です。
30分もあればぐるりと町を歩いてまわれるくらいの小さな町です。
標高932メートルのデマニオ山をはじめとするラッターリ山脈が背後に迫り、漁港へ降りていく道を軸に町が広がるチェターラ。
町の中心には教会のドゥオーモがそびえ、埠頭には小さな漁船がずらりと並んでいます。
チェターラ(Cetara)の名前は、マグロを意味するラテン語の「Cetaria」や、漁商を意味する「cetari」に由来するとされており、昔から変わらず漁師町であったことがわかります。
カタクチイワシから抽出した魚醤「コラトゥーラ・ディ・アリーチ」が特産品。
レストランではコラトゥーラを使ったパスタを始め、名産のカタクチイワシやマグロなどの魚介料理が楽しめます。
町は南イタリアらしいパステルカラーの教会や住宅が並び、カラフルでかわいらしい雰囲気。
小さな田舎町ならではのゆったりとした時間が流れています。
町が一望できる港や美しいビーチをのんびりと散策をして、美味しい魚介料理を堪能して、カフェで食後のエスプレッソを…そんなのんびりとした時間を満喫するのにぴったりの穏やかな町です。
町を散策したら、ぜひチェターラのビーチや港へも足を運んでみてください。
ビーチは、お天気が良ければ11月ごろまで海辺で日光浴もできます。
ビーチ沿いにはバールもあるので、海を眺めながらアペリティーボをしたりジェラートを食べて過ごすのも素敵です♪
チェターラの港はL字型になっており、港の先端がちょうど町の正面に位置しているため町を見渡すことができます。
大きな漁船やボートが泊まっていたり、釣りをしてる人がいたりと、いかにも漁師町らしい雰囲気が流れています。
海の町チェターラの教会は、外観から内部まで魚のモチーフがいっぱい!
こちらは、チェターラの守護聖人「聖ピエトロ(San Pietro)」のための教会です。
聖ピエトロはキリスト十二使徒の一人で、漁をしているときにキリストに声をかけられ弟子になった、という話が残されています。
彼自身が漁師だったため、漁師の守護聖人でもあります。
この教会が初めて文献に登場するのは、988年までさかのぼります。
その後何度も修復され、現在の外観はネオクラシック様式と後期バロック様式の装飾 になっています。
教会に入る前に、注目してほしいのが銅で作られた入り口の扉。
扉一面に小魚が泳ぎ、2人の使徒が縄で魚を捕らえている様子が描かれています。
この扉は比較的新しい物ですが、全体に無数の魚が装飾された、漁師町・チェターラらしい扉になっています。
また内部にある説教台も扉と同じように、魚のモチーフで飾られています。
知らないとスルーしてしまいがちですが、ちょっと立ち止まって見てみてくださいね。
教会の中には聖人像や絵画などと一緒に、プレゼピオも飾られています。
プレゼピオとは、イエス・キリストの誕生シーンを表現した模型のことです。
基本的にはクリスマスの時期に飾られるものですが、教会などでは季節を問わず、常設してあるところもあります。
この教会でも、チェターラをイメージした町並みの中心に、キリスト誕生のシーンを表す人形が置かれています。
その周りにはハトやネズミが駆け回っていたり、陽気に歌う民衆がいたりと、町の日常が細かく表現されています。
そんなプレゼピオを良く見てみると、端の方でコラトゥーラを作っているおじさんがいます。
イタリアには様々なプレゼピオがありますが、コラトゥーラづくりをしているシーンが盛り込まれているのは、チェターラだけかもしれません。
ちなみに都市部や観光地の教会では、入場料が必要な場合や入口にスタッフがいることもありますが、チェターラの教会は誰でも無料で入ることができますし、写真撮影も問題ありません。
ただし、神聖な場所であることには変わりないので、短パンやミニスカート、ノースリーブでの入場は避けましょう。
夏に薄着でチェターラを訪ねた場合は、ショールなどの布を羽織るだけでもOKです。
チェターラの名産品「コラトゥーラ」
チェターラのほとんどのレストランが魚介料理専門で、コラトゥーラを使った料理が食べられます。
そして、町の特産品であるコラトゥーラは、総菜屋さんからコラトゥーラ専門店まで町の至る所で売られています。
値段はメーカーや店によって異なりますが、大体40mlほどで3ユーロ~となっています。
古代ローマ時代に使われていた調味料「ガルム」から変遷してきたというコラトゥーラ。
そもそものガルムは肉料理、魚料理、デザートにまでも振りかけられ、食事に欠かせないばかりか、水で薄めたものは犬にかまれた時や赤痢などにも万能薬として使われたとか。
オセアニアの万能薬「ノニ」をも超える、信頼ぶり。もはや魔法の域です。
けれど古代ローマ時代の終焉とともにガルムの製造法も立ち消え、ヨーロッパではこのコラトゥーラくらいしか残っていないそう。
その産地が、アマルフィとサレルノのほぼ中間に位置するチェターラです。
コラトゥーラの材料は新鮮なカタクチイワシと大粒の塩のみ。
まず、カタクチイワシの頭と内臓を手作業で取り除き、樽の中に敷き詰めて、塩と交互に重ねていきます。
カタクチイワシと塩をギリギリまで敷き詰めたら、たっぷりの塩でカタクチイワシを覆います。
後は蓋をして、重しの岩をのせて熟成させます。
3~4年ほど熟成させたら、樽の底に穴をあけて、一滴一滴ゆっくりと時間をかけてコラトゥーラを抽出します。
樽の中でじっくり寝かせることにより魚のうまみが凝縮され、琥珀色のコラトゥーラが完成します。
材料や工程はシンプルですが、3年ほどの熟成期間や機械を使わず自然に抽出するなど方法など、とても手間暇かけられたこだわりの調味料なんです。
チェターラのコラトゥーラをさらに進化させた「瀬戸内コラトゥーラ」
そんなチェターラだけで作られていたコラトゥーラを「日本の材料でも再現できないのか!?」、ということで長年の試行錯誤の末にできたのが、私達が作る「瀬戸内コラトゥーラ」なのです!!
瀬戸内コラトゥーラには、山口県佐賀漁港で10月末から12月末のクリスマスの頃までに水揚げされた新鮮で上質のカタクチイワシのみを使用しております。 皮が薄くて骨が柔らかい白口イワシという最高級の品種です。
宇佐川が自ら水揚げしたカタクチイワシを、丁寧に下処理し、その日のうちに酒粕と塩に漬け込むので、鮮度が他の魚醤と比べ物にならないくらい良いのです!
また、カタクチイワシを塩だけでなく酒粕を使って発酵熟成させているので、魚醤独特の臭みがなく、カタクチイワシの芳ばしい香りと濃厚な旨味があります。
ちなみに、うま味成分であるアミノ酸の含有量に関しては南イタリアのコラトゥーラ63%に対して、瀬戸内コラトゥーラ92.66%︎と本家を凌駕しちゃってます!
なので、チェターラで作られたコラトゥーラと比べると、魚介の臭みがかなり軽減され、日本人の舌にむけて、酒粕も加えて発酵させたことで、食べやすくマイルドな仕様にしたのが、「瀬戸内コラトゥーラ」というわけです。
お料理をしていて、良い所までいってるのに何かが足りない……とか、お店みたいなスープやお味噌汁の味は家では出せないと思っていませんか?
市販で安く手軽に使えるものだけでは引き出せない素材のうま味を、瀬戸内コラトゥーラが上手に引き出してくれますよ。
ホームページにも瀬戸内コラトゥーラを使ったお料理写真が多数掲載されていますので、ぜひご参考になさって下さい!
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